千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希(23)がポスティングシステムを使ってMLB入りを目指すことになった。現行の制度では、25歳未満の選手はマイナー契約しか結べない「25歳ルール」が存在するため、ロッテに入る譲渡金は3億円程度になると見込まれる。あと2年待てばルール適用外となり、ここまで育ててくれた球団への“恩返し”も期待できることもあってか、今回の佐々木の挑戦に対しては球界内外から批判的な声もあがっている。当然、「個人の夢を重視すべき」という反論もあるものの、近年のメジャー挑戦者に対するものとは異なる空気感が存在するようだ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
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今回の佐々木のMLB挑戦に対する批判は、おおよそこんな感じです。
「ロッテをトレーニング機関扱いし、踏み台にしただけ」
「山本由伸はオリックスに3年連続優勝に貢献した上でMLBに行ったのに引き換え、佐々木はそこまで貢献していない」
「これまでシーズンを通して投げたことはなく、5年間で最高の投球回数はわずか111。そんな投手が中4日のMLBの起用法に耐えられるか」
「他の日本人選手は球団に多額の譲渡金を残したのに佐々木はそれがない」
さらには佐々木を「ガラスのエース」「スぺ体質(※ケガしやすい体質。語源はゲーム『スペランカー』の主人公がちょっとした段差で死ぬこと)」と呼ぶ向きもあります。スポーツメディアのRONSPOは11月10日、野球評論家の広岡達郎氏の「ロッテは我儘に愛想が尽きたんだろう。日本はメジャーの踏み台じゃない。今のままじゃ行っても失敗する」というコメントを紹介しています。
こうした論調が出るなかで、1994年の近鉄バファローズ・野茂英雄を思い出しました。野茂は1990年、ルーキーイヤーにベストナイン・新人王・沢村栄治賞・MVPを獲得。4年連続最多勝利と最多奪三振王を獲得。その翌シーズンオフにメジャー挑戦を表明しました。
近鉄の鈴木啓示監督と折り合いが悪かったことも影響してか、スポーツ紙の論調は野茂に批判的でした。FA権を獲得する「9シーズン」に達しない5シーズンのキャリアしか経験しておらず、ポスティングシステムもなかったため、「ワガママ」「ゴリ押し」などと野茂は叩かれました。さらには「日本人が通用するわけない」なんて心無い言葉も浴びせられた。大御所野球評論家も野茂には否定的だった。結局、野茂はNPBの任意引退選手となり、海を渡るわけです。