失踪宣告の申立てができる利害関係人は、不在者の死亡に法律上の利害関係がある者です。通常は配偶者や法定相続人が典型ですが、生命保険金の受取人になっている者、遺言で遺産をもらえることになっている受遺者も含まれます。
ご質問の不在者は、あなたの大叔父です。不在者に配偶者や子供がいない場合は兄弟が相続人になり、兄弟の子(不在者にとって甥や姪)も自分の親が死亡していれば、相続を代襲できますから、法律上の利害関係があります。
しかし、甥や姪の子供は甥や姪を代襲できないので相続人にはなりえず、法律上の利害関係もないため、あなたは失踪宣告の申立てをできません。不在者の兄弟や甥姪が申立てをするように相談してみてください。また、厚労省ホームページに、各自治体が保護している身元不明の認知症高齢者の情報を取得できる特設サイトがあり、失踪宣告の申立ての前に確認してみましょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2024年12月6・13日号