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キャリア
漂流する大卒者たち

空前の売り手市場の陰で“漂流する大卒生”のリアル 何も考えないままに「長引くフリーター生活」、同級生の話を聞くと「ますます働く気が失せる」

時間はあっという間に過ぎてゆく(イメージ)

時間はあっという間に過ぎてゆく(イメージ)

 今や志望すれば誰でもどこかの大学に入学できるようになったとして、「大学全入」時代とまで言われている。文科省「令和5年度学校基本統計」によると大学への進学率は57.7%と過去最多を更新。また厚生省「令和6年3月大学等卒業者の就職状況」を見ると、大学生の就職率は98.1%とこちらも過去最高となり、就活生は空前の売り手市場の恩恵を受けている。

 しかしその裏では、大学卒業後の進路が未定なまま漂流する人もいる。彼らは就職活動の時期にどう過ごし、現在どういう生活をしているのか。“漂流大卒者”の実態を追った。【前後編の前編】

親に言われて進学したものの目標もなく2留

 親に進められた私立大学へ進学したIさん(30代男性/東京都)は、2年の留年を経て卒業。今に至るまで自宅暮らしだ。

「勉強は嫌いだったのですが、高校を卒業してすぐに働くイメージもなく、親は親で『今の時代、大学には行っておきなさい』とうるさかったので、現役で東京の大学へ行きました。偏差値的には、大したこともない大学です。そうはいっても大学でやりたいことがあるわけでもなく、在学中はバイト三昧で、友達と遊んでいたら単位が取れずに留年。留年が決まると他の講義もサボり始め、だらだらとした生活をしていました」(Iさん)

 Iさんの親も留年に寛容だったといい、「卒業さえすれば何をしてもいい」と言われていたIさんは、結果2留する。

「友人は先に卒業したので、就活についての情報共有ができる人もおらず、性格的に “頑張る”とか“競争”が苦手で、就職活動をするタイミングを失ったまま卒業しました」(同前)

 現在は、派遣でビルの警備をやっているというIさん。今後について聞いてみると、「何も考えていない」と話す。

「予定を立てたり、人に合わせて行動したりできないという自分の性格的に、会社員は絶対できない気がするので、派遣であまり誰とも話さないような仕事が気楽です。今の仕事は週毎のシフト制で、休みが簡単に取れる。会社員だとこうはいかないと思うので、もう少しこの仕事を続けるつもりです」(Iさん)

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