同級生たちの話を聞くと「働く気がどんどん無くなる」
Hさん(20代男性/埼玉県)は1浪して私立大学を卒業し、現在は一人暮らしをしながらフリーター生活を送っている。一つの会社に所属する「就職」は“あえて”避けたというが、漂流しているのは他にも理由がある。
「大学に行ったのは、正直社会に出る時期を先送りしたかっただけです。1浪したので、志望大学のランクを上げ、頑張って偏差値60ぐらいの大学に入りました。
在学中はサークルやバイトなど普通の大学生生活をしていたのですが、みんなが就活をやっている時も昼に起きて、バイトに出かけていました。こんな生活はサラリーマンになっちゃうと絶対にできないと思って。それに一応学歴もあるので、なんとかなるかなと」(Hさん)
「30歳くらいまではフリーターのつもり」だというHさんは、今はカフェ店員をしているが、最近、同級生だった友人たちに動きがあることを察知している。「転職」だ。
「新卒で就職した同級生たちが、次々に仕事を辞めるんですよ。そして時間に余裕がある僕を飲みに付き合わせながら、『○○業界は激務だからやめとけ』、『営業の仕事は厳しい』とか、とにかくネガティブなことを言う。正直、何を言われてもわからない世界の話なので、『へー』と言って聞いているだけですが、内心では、働く気がどんどん無くなってきています」(Hさん)
そんなHさんは「最適解が欲しい。自分に合っている職が見つかってからでも就職は遅くないと思う」と言いながら、今日もカフェのホールに立つ。後編記事では、職を転々としてしまう大卒生たちと、彼らと接した人たちのリアルな声を紹介しよう。
■後編記事:【漂流する大卒者たち】就職しても「なんとなく辞める」で職を転々…自分の“居場所”を見つけられず「今の会社にいる理由もわからない」