木原:NISAに大型株や高配当銘柄を入れたがる人は、NISA口座では損益通算できないことを嫌って、大きな損失を出しにくい銘柄を優先したがるんです。損を出したときに、他の銘柄で出た利益と相殺できなくなるぐらい、たいしたことじゃないと思いますけどね。1億円の利益を上げて2000万円の税を払わなくて済むメリットを思えば、僕はそんなの全然気にならないです。
エミンさんは10倍株を探すより、10倍まで握り続ける方がはるかに難しいと指摘しましたけど、この非課税のしくみが握り続ける力をくれるんじゃないでしょうか。
あまり早く売っても非課税枠は翌年にならないと再利用できないし、新NISAは非課税枠を何度でも使えるのが売りではありますが、個別株を買える成長投資枠は年間240万円までしか投資できないので、初年度の非課税枠を再度使えるのは実際には5年後ということになってしまいます。満足できる株価になるまでは売る気がしない良いしくみになっていますね。
エミン:たぶんそれが金融庁の狙いなんじゃないかな。かれらは国民に短期投資を繰り返すギャンブラーになってほしいのではなく、長期投資で資産を大きく増やして豊かになってほしいんですよ。よくできたしくみです。
インデックス投資と個別株、どちらが優位か?
エミン:新NISAでは、インデックスファンドを毎月買い付ける積立投資も人気ですね。世界中の株式市場に投資できるオルカン(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)やS&P500指数に連動する投資信託への積立投資が、構造的な円安要因になるほど存在感を増しています。
木原:それはそれで大事ですよね。だれもが個別株を研究して投資できるわけではないので、一般的な人たちの投資の最適解のひとつだと思います。ポーカーは分散できないけど、株は分散投資ができますから。
エミン:日本株はオワコンだとか言って、投資のすべてをオルカンやS&P500に全振りする人もいるけど、それもちょっと極端なんだよね。私だったら、外国株インデックスと日本株インデックスを半々で買うかな。あるいは、アメリカ株を少し減らしてインド株やベトナム株を入れてもいい。