スポーツ選手や起業家だけでなく、歌手や俳優、マンガ家や小説家、そしてYouTuberも「ロングテールの仕事」で、これには2つの特徴があります。
【1】いったん成功してテールの端にいくとものすごく有名になる(そして大金持ちになる)。
【2】ほとんどの挑戦者が成功できずに競争から脱落していく。
それに対してベルカーブの仕事は、医者や弁護士、エンジニアやプログラマー、研究者など、「専門家」と呼ばれるような職業で、こちらも2つの特徴があります。
【1】専門家になると平均以上の収入を得られる(ただし大富豪にはなれない)。
【2】大学や大学院などの学歴があると、専門家になりやすい。
ロングテールの仕事はジャンボ宝くじのようなもので、当たると大きな名声と大きなお金が手に入りますが、ほとんどはハズレです。それに対してベルカーブの仕事は、当たりがたくさんあるものの、当せん金額の少ない宝くじのようなものです。
仕事を成功確率で考える
これを「努力の限界効用」で説明すると、ロングテールの仕事は達成度99%とか、99.9%以上ないと成功できません。
甲子園に出るような選手は野球の達成度で上位1%に入るでしょうが、それでもほとんどはプロになれずに、別の仕事につくことになります(たとえプロになったとしても、やっぱりその一部しか成功できません)。
それに対してベルカーブの仕事は、達成度85%くらいでもそれなりの成功を手に入れることができます。世界的な名医にならなくても、医師という専門職になれば、平均よりもゆたかな生活が送れるでしょう。
ロングテールの仕事は、成果を出せるか、出せないかがすべてです。どんなに努力しても、三振ばかりの野球選手は、誰も評価してくれません。
それに対してベルカーブの仕事は時給の高い専門職で、(成果も大事ではあるものの)働いた時間によって安定した収入が得られます。
子どもは将来に大きな夢を描きますから、ロングテールの仕事に憧れるのは当然です。それに対して、(マンガやドラマに出てくる医者や弁護士を除けば)ベルカーブの専門職のことはほとんど知らないでしょう。
親としては子どもの夢を応援する一方で、失敗者がたくさんいるからこそ、ロングテールの成功者が輝くのだという現実もどこかで教えなくてはなりません。
ベルカーブの仕事で成功できるのは、だいたい20%くらいでしょう。学校の成績がよければ必ずうまくいくわけではありませんが、その多くが大学・大学院卒の学歴をもっていることも事実です。
ロングテールの仕事の成功確率が1%(100人に1人)とすれば、ベルカーブの仕事の成功確率はその20倍です。YouTuberの成功確率は0.1%(1000人に1人)か、それ以下でしょう。だとすれば、ベルカーブの仕事の成功確率はその200倍以上になります。