闘う経済アナリスト・森永卓郎氏の連載「読んではいけない」。今回は、森永氏が炎上した「日経平均3000円予想」について真意を明かす。過去のバブル崩壊を振り返ると、日経平均3000円はなんら不思議ではないと考える森永氏。さらに、「リスクを正しく伝えていないメディア」にも苦言を呈す。
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過日、経済系のYouTubeチャンネルにゲスト出演した際、日経平均株価について「来年中に3000円になる。本音を言うと2000円くらい」と発言した。これに対して、堀江貴文氏が私の発言を否定し、「自分が死ぬからって何でも言っていいわけじゃない」とかみついてきた。このほか、複数の経済学者が「ありえない」と異議を唱え、炎上状態となった。
しかし、彼らは現実が見えていない。いま世界で何が起こっているか。ドイツでは連立政権が崩壊し、フランスでは内閣が総辞職。シリアでは50年以上続いてきたアサド政権が崩壊し、韓国では戒厳令を出した尹錫悦大統領の弾劾訴追が可決した。世界が激動の最中にあるのだ。これだけ国際リスクがあるなかで、いまの株高が続くと思うほうがどうかしている。
1929年の世界恐慌の直前は家電産業や自動車産業の株価が高騰した。あまりにも行きすぎた価格上昇が続けば、必ず大きな反動がくるというのが過去の教訓だ。
現在に目を向けると、10年ほど前からGAFAをはじめとするビッグ・テックの躍進に続き、自動運転車やAIブームによる半導体バブルが株価高騰を支えている。だが半導体は少しでも需給が緩むと価格が大暴落する特性を持つ。技術の追い上げで供給が増えれば、価格も簡単に下がる。半導体関連の株価は近い未来ドカンと下落するだろう。
世界恐慌の際はNYダウ平均が90%近く暴落。1989年末に始まった日本のバブル崩壊でも日経平均株価は80%強暴落した。令和バブルが崩壊すれば日経平均は3000円になってもなんら不思議ではないのだ。