1月20日(米国時間)の就任式でドナルド・トランプ氏が米国大統領に返り咲いた。投資家の間では「トランプラリー」に期待が高まるが、「世界経済の見通しが不透明ななか、トランプ銘柄にだけ注目するのはリスクがある。任期中の4年間に株価が乱高下する可能性は否定できない」と言うのは、高配当株・増配株への投資で1.8億円の資産を築いた億り人のおけいどん(桶井道)氏。新刊『普通の人のための投資:いちばん手軽で怖くない「ゆとり投資」入門』(東洋経済新報社)を上梓したおけいどん氏が、トランプリスクに負けない日本株選びのポイントを解説する。
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第二次トランプ政権の誕生を受けて、株式投資では「トランプ銘柄」を意識する人が増えています。確かにその時の政策に乗ることで大きく儲けられる可能性はありますが、株式投資は長期でするものでもあります。
バイデン大統領就任時を振り返りましょう。「バイデン銘柄」といわれた、たとえば再生可能エネルギー関連はどうなったでしょうか? リチウム関連企業に投資するETF(上場投資信託)である「Global X Lithium & Battery Tech ETF」(LIT)は、2020年春から2021年まで価格を上げましたが、その後は下降トレンドを描いています。他方、再生可能エネルギーに注力するネクステラ・エナジー(NEE)は、超長期チャートが上昇トレンドを描き、5年チャートも悪くない動きをしています。概ね増益基調だからでしょう。このように、「バイデン銘柄」のなかでも株価上昇を持続するものと、そうでないものがあります。株価は短期では需給によって動きますが、長期では企業価値、一言でいえば「儲ける力があるかどうか」で動きます。
そこを意識すれば、必ずしも「トランプ銘柄」を選ばずともいいはずです。トランプ2.0からその後のアフター・トランプまで長期で企業価値を上げていくであろう銘柄に投資することが、理にかなっていると言えるでしょう。
食品、半導体、インド関連…今後伸びる代表的な業界5つ
投資の大原則として、市場が拡大していく分野を見極めることが重要です。拡大する市場(=需要量の増加)に、商品やサービスを供給する(=供給量の増加)から、売上高や利益が拡大していくと言えます。それにより、株価が上がるという流れです。伸びそうな業界をいくつか上げてみましょう。
(1)食品関連
人口増加の流れを鑑みれば、食料の供給量を増やす必要があることは容易に理解できます。よって、食品関連の企業には期待して良いと思います。好景気・不景気に関係なく需要が安定していることも強みです。加えて、健康意識の向上も健康志向の食品関連には追い風でしょう。
(2)日用品関連
日用品関連も人口増加の恩恵があり、好景気・不景気に関係なく需要が安定しています。洗剤、シャンプー・リンス、ハンドソープ、整髪剤、化粧品、おむつなどです。人口が増えると消費量が増えます。
(3)IT関連
世界中の人々の暮らしやビジネスを大きく変えているのはITの技術革新です。人間が利便性を追求し続ける生き物であることを鑑みれば、この流れは変わらないでしょう。現代では何にでもITが関わっていますのでIT関連に投資しておくことで資産成長が期待できます。
(4)半導体関連
今や半導体がなければデジタル機器は動きません。AIの普及により需要がさらに増えています。スマートフォン、パソコン、家電製品、自動車、そして国防にも関係しています。半導体業界は設計、素材、製造装置、製造、そして水などの関連事業と幅広いです。
(5)インドに強い
インドの人口は世界1で14億人を超えています。人数だけではなく「若さ」も武器です。そしてGDPは世界5位です。その内需のパワーを想像してみてください。