いつ観光客が飛び出してくるかヒヤヒヤ(イメージ)
訪日外国人は過去最多を記録し、日本各地の観光スポットが多くの人で賑わう。その一方で、観光名所近くの住人にとっては、混雑から交通事故のリスクが増大している側面もある。たとえば自動車を運転していて、不注意な観光客と接触事故を起こした場合、責任を問われるのはドライバーになってしまうのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
うちの近所に、観光客が押し寄せる新しいスポットが誕生。問題は、撮影のために観光客が県道に躍り出ること。自動車を運転している私からすると、いつ観光客が飛び出してくるか、常にヒヤヒヤもの。この場合、向こうが勝手に飛び出し、そのせいで車と接触したら、悪いのはこっちになってしまいますか。
【回答】
車が停止しているのに、歩行者がぶつかってきたのなら別ですが、そうではない限り、運転者の免責は難しいと思います。自動車の人身事故には『自動車損害賠償保障法』の適用があり、運転に過失がなかったこと、運転者以外の第三者による過失や故意があったことなどを証明できなければ、運転者側の免責はありえないからです。
ご質問の状況は、運転者にとって甚だ迷惑な事態ですが、歩行者の飛び出しを理由にすると、かえって免責の主張が困難になるかもしれません。というのも、歩行者が車道に飛び出して起きる交通事故は、飛び出しが予見不可能であった場合には運転者に過失がなく、歩行者側に責任があると判断され、免責が認められるケースがあります。要は、飛び出しを予見できないため、事故は起こるわけです。