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がん闘病中の森永卓郎さんが実践していた“生前整理” 「投資資産を整理することは最優先事項」「老後の支出を抑える最もラクな方法は“住まい”を変えること」

「トカイナカ」での生活が「老後にお金の心配をせず健やかに過ごすカギ」と語っていた森永卓郎さん(2018年撮影)

「トカイナカ」での生活が「老後にお金の心配をせず健やかに過ごすカギ」と語っていた森永卓郎さん(2018年撮影)

 1月28日に亡くなった経済アナリストの森永卓郎さん(享年67)。2023年11月にすい臓がんのステージIVと診断(その後、原発不明がんと診断)され、「余命4か月」を告げられてからも亡くなる直前まで執筆活動や番組出演をはじめ数多くの仕事をこなしてきた。週刊ポスト1月27日発売号では、森永さんの独占手記を6ページにわたって掲載している。森永さんはどのような治療を行っていたのか。そして、資産管理はどうしていたのか──。同記事で次のように明かしてくれていた。

タイミングよく多額の売却益

 がん発覚と同時に株や投資信託、外国債券などの整理も始めた。金融資産は買うより売るほうが100倍難しく、特に昨年は上げ相場が続いたので決断が鈍った。株主優待がどうしても必要な株だけを残して、ほぼすべての金融資産を売却し終えたのは2024年の7月中旬だった。

 それでも売却したタイミングは僥倖だった。当時の日経平均は4万1000円台、為替レートは1ドル160円。株価と円安のバブルの恩恵をフルに受けて、手元には3千数百万円の売却益が転がり込んだ。

 現在は上げ市場を追い風に新NISAブームだが、今後、バブルが弾けて日経平均は3000円程度まで暴落すると見る。特に高齢者が投資に頼るとバブル崩壊で老後資金をドブに捨てるも同然で、投資資産を生前整理することが老後生活を守るための最優先事項となる。実際、私の場合はこれが治療費の捻出に多大な助けとなった。

 当初、すい臓がんのステージIVと診断されたが、その後、どの臓器に原発のがんがあるか不明な「原発不明がんの終末期」に改められた。

 現在、受けている治療は免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」と血液免疫療法「NK療法」だ。オプジーボは非常に高額の薬だったが今は薬価が下がったうえ、原発不明がんには保険適用となる。それでも3割負担で月20数万円の費用がかかり、NK療法は自由診療で1回50万円×2で月100万円。その他の費用を含めると毎月の医療費は約150万円になるが、資産整理で得たお金で闘病が続けられている。

 一方で、抗がん剤や放射線といった保険適用の標準治療だけでも十分にがんと戦えるという実感もある。標準治療なら高額療養費制度など公的医療保険制度が併用できるので、毎月の自己負担額は抑えられる。多くの場合、月額10万円前後で済むのが現実なのだ。

 私の場合は生きられてもあと数年だろうし、抗がん剤治療が死ぬほどつらかったので治療費は気にせず自由診療を受けている。がんの診断を受けた時、私の頭には9割がた書き上げていた新著と、教え子である獨協大学のゼミ生を放り出して無責任に死ねないという思いが強かったのだ。

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