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住まい・不動産
「空き家問題」の現在地

【空き家問題対策の現状】2023年12月に施行された「改正・空家等対策特別措置法」の8つのポイントを解説 管理不全空き家では固定資産税減免措置が適用されない

【4】特例により再建築不可物件の建て替えが可能に

 建築基準法では接道規制があり、住宅が建っている土地は幅員(幅)4m以上の道路に2m以上接していないと、建て替えや改築ができないことになっています。相続などで取得した空き家が旧法で建設された家で、接道要件を満たしていないと、建て替えも改築もできずに放置してしまうケースが目立ちました。

 そこで今回の改正では、市区町村が重点的に空き家の活用を図るエリアを促進地区として定める制度が設けられました。市区町村が定める「敷地特例適用要件」に適合する空き家であれば、前面道路が4m未満であっても建て替え、改築がしやすくなりました。またこれまでは用途地域規制で認められなかったカフェなどへの用途変更も認められるようになりました。

【5】空き家譲渡所得特例の対象基準の追加

 これまでは空き家とその敷地を相続開始後3年以内に売却した場合には譲渡所得から最高で3000万円を控除できる税制上の特例が設けられていましたが、この特例を受けるには売主自らが空き家を撤去するか、耐震改修を行なって引き渡す必要がありました。今回税制改正によって空き家と敷地をそのまま譲渡し、買主側で解体やリフォームすることができるようになりました。

【6】相続人行方不明者ありでも、処分が可能に

 家を相続してきょうだいで共有しているケースが多くありますが、この家を修繕、整備する際は共有者全員の同意が必要でした。今回民法改正が行なわれ、建物の外観、構造、機能、用途などが大きく変わらない内容であれば、共有者の過半数の同意で実施できるようになりました。

 たとえば3人きょうだいで相続した家を修繕する際に、2人の同意があれば実施可能です。さらに相続開始から10年経過すれば、行方不明者の持分を他の共有者が取得したり、第三者に売却することが可能になりました。所有者不明土地問題などでもクローズアップされた、持分所有者が行方不明になって何も決められないなどの事象に対応するものです。

次のページ:【7】相続土地の国庫帰属が可能に

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