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ビジネス
フジテレビグループの企業統治の在り方

「CMがゼロになっても倒産はあり得ない」“フジテレビの首領”日枝久氏が動じぬ背景 不動産資産だけで5200億円を誇るフジ・メディアHDの事業構造

フジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングスで取締役相談役を兼務する日枝久氏(時事通信フォト)

フジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングスで取締役相談役を兼務する日枝久氏(時事通信フォト)

 タレントの中居正広(52)の女性トラブルをめぐるフジテレビの問題は、10時間超に及ぶ「やり直し会見」を経て、第三者委員会の調査に委ねられることとなった。スポンサーのCMキャンセルが相次ぎ、一部では経営危機も囁かれている。だが、専門家からは親会社フジ・メディア・ホールディングスの事業構造から「CMがすべてなくなったとしても、倒産はあり得ない」との指摘があがっている。フジテレビグループの企業統治の在り方、今後の行方について探った。【前後編の前編】

「メディア・コンテンツ事業」と「都市開発・観光事業」の2本柱

 やり直し会見以降も、スポンサー企業のフジテレビに対する対応は厳しさを増している。ナショナルスポンサーが相次いで2月分のCMをキャンセル、2025年3月期の広告収入が従来予想より233億円減少すると発表した。

 だが、スポンサーの相次ぐ撤退に直面しても、“フジテレビの首領”は責任を取るそぶりを見せていない。現在はフジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)で取締役相談役を兼務する日枝久氏(87)──会見でも日枝氏の不在やその責任を問う声が集中していた。 早々に嘉納修治会長と港浩一社長の辞任は決まったが、フジ側から日枝氏に関する言及はなく、質問に対して幹部らは言葉を濁し続けた。

 収益の柱であるCM収入がほぼ得られないというかつてない“経営危機”。一部報道ではフジテレビが「倒産」するリスクまで言及されるなか、日枝氏はなぜ平静を保てるのか。その謎を解く鍵は、フジ・メディアHDの「事業構造」にある。

「フジテレビのCMがすべてなくなったとしても、倒産はあり得ない」

 そう語るのは、元日本証券新聞社長で経済ジャーナリストの天野秀夫氏。

「実はフジ・メディアHDの業績は『メディア・コンテンツ事業』と『都市開発・観光事業』の2本柱に支えられており、主な利益は不動産事業が生み出しています。フジテレビが危機的になっても、すぐ経営破綻ということにはなりません」

 同HDの2024年3月期決算では、売上高こそメディア・コンテンツ事業(テレビなど)が4分の3以上を占めているが、335億円の営業利益の内訳を見ると不動産(都市開発・観光事業)が195億円と過半を占め、メディア事業の157億円を上回っている。

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