恥ずかしい話だが、朝ベッドでパジャマを脱ぎ捨て、そのままの状態で置きっぱなしになっていることもある。家に私一人でいるときなど、本当にパジャマのズボンが脱いだままの形で、床の上に鎮座している。
帰ってくると、そこに足を入れて、引っ張りあげればそのままズボンがはけてしまうので、私にとっては便利なことこの上ない。もし家に誰もいないままそういう状況が長く続いていったら、私の家はとんでもないことになってしまうに違いない。
私の優先順位からすると、パジャマをたたんだり、家の中を片づけたりするのは、限りなく順位が低いことになるのだ。情けない話だが、もう私はあきらめて、割り切っている。
とはいえ周囲を見てみると、いわゆる天才と言われる人たちは、それだけに集中するあまり、日常生活で支障をきたしてしまうという話をよく聞く。やはり並はずれた集中力を発揮すると、ほかのことはまったく関係なくなってしまうのだろう。そこまで集中できればすばらしい。逆に言えば、そこまで集中できるからこそ、ものすごい発見や発明や業績が得られたのではないだろうか。
※伊藤真・著『考える練習』(サンマーク出版)をもとに一部抜粋して再構成
【プロフィール】
伊藤真(いとう まこと)/1958年、東京生まれ。伊藤塾塾長。1981年、東京大学在学中に司法試験合格。その後、受験指導を始めたところ、たちまち人気講師となり、1995年、「伊藤真の司法試験塾(現、伊藤塾)」を開設する。「伊藤メソッド」と呼ばれる革新的な勉強法を導入し、司法試験短期合格者の輩出数全国トップクラスの実績を不動のものとする。「合格後を考える」という独自の指導理念が評判を呼び、「カリスマ塾長」としてその名を知られている。現在、弁護士として、「1人1票」の実現のために奮闘中。『夢をかなえる勉強法』『夢をかなえる時間術』『記憶する技術』『深く伝える技術』(サンマーク出版)、『伊藤真試験対策講座(全15巻)』など著書多数。