中国でDeepSeekに続く企業が生まれる土壌はあるのか(Getty Images)
DeepSeekの登場により、数学、コーディング、推論などで世界最高水準の大規模言語AIモデルがオープンソース形式で極めて安いコストで利用できるようになり、早速、中国企業の多くが反応している。
中国企業の経営判断は素早く、春節明けの5日から多くの企業が「DeepSeek製品をAPI連携した」と発表している。そうした企業の業務内容を整理してみると、パソコンやスマホに使われるセキュリティーソフト、ペイントツール、小売り向けのマーケッティング分析ツール、教育用ソフトウエアなどを開発する比較的小規模の企業から、ICT、金融、医療といった大規模の企業まで様々だ。
中国本土株式市場のセクター別の値動きについて、春節休場明けの5日から10日までの相場つきをみると、クラウド絡みのソフトウエア開発、ITサービス、AI関連が大きく買われているのはもちろんだが、スマートグラス、ロボット、電気自動車といったセクターも買われている。こうした川下側のセクターもあれば、半導体・半導体製造装置、通信関連の電子部品、素材などといった川上側のセクターもある。DeepSeek登場が本土市場に与えるインパクトは大きく、広く経済全体に波及すると本土投資家たちは予想している。
もっとも、グローバル投資家にとっては、本土のどのセクターが恩恵を受けるのかということよりも、中国のイノベーション力はどの程度なのか、つまり、DeepSeekによるブレークスルーは偶然で特殊なケースなのか、或いは中国全体でイノベーションを推進する力が底上げされていて、そこから今回、DeepSeekがたまたま出現したのかといった点の方に、より興味があるのではなかろうか。