フジテレビは社内の刷新をどう進めていくのか
1月末の「やり直し会見」で再起を誓ったフジテレビ。だが、企業体質を根本から改めるべく新設された「経営刷新小委員会」のメンバーは、“刷新”を謳いながら代わり映えのしない面々に見える。本当に、これでフジテレビは変われるのか。
2月3日、フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)が設置を決めた「経営刷新小委員会」の初会合が開催された。会議では取締役への聞き取りなど今後の方針が定められ、「積極的な情報開示や対外説明による経営の透明性確保の方策」など5つの項目を点検するよう求める要望書が会社側に提出された。だが、この経営刷新に向けた委員会の人選と実効性に、疑問の声が上がっている。放送業界に詳しいジャーナリストの高堀冬彦氏が語る。
「刷新委員会のメンバーはフジ・メディアHDの社外取締役である7人で構成されています。元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルが報じられた昨年末以降、この問題に社外取が介在した形跡はほぼなく、機能不全が指摘されてきた。そのメンバーがスライドして新組織の委員になっても、本当にテレビ局として生まれ変わるための提言ができるのか疑問が残る」
批判を浴びているのが、委員のひとりに総務省出身で、“飲み会を断わらない女”として有名になった元首相秘書官・内閣広報官の吉田真貴子氏(旧姓・山田)が含まれていることだ。元文科官僚の寺脇研氏が指摘する。
「テレビ局に事業の免許を発行し、非常に強い権限を持つ総務省の出身者が社外取となっていること自体、見過ごせない問題です。一連の騒動のなかで天下り批判を受けてもなお、フジは改革を先導すべきメンバーに吉田氏を選びましたが、一体どれほどの役割を果たせるのか疑問です」
1月27日の“やり直し会見”では、1回目の会見で中継や動画撮影を禁止した判断への吉田氏の関与が問われる一幕があった。その問いに対し、港浩一前社長は「吉田真貴子氏は日常的にいらっしゃるわけではありません。不在でした。そのなかで決めた決断ですので、この判断には一切関与していない」と答えた。かえって社外取として経営をチェックする役割を果たせていない疑念が浮き彫りとなったのだ。