市場全体の急落局面で、売って儲けた保有銘柄もあったという(藤本茂さん。撮影/杉原照夫)
19歳で始めた株式投資を70年近く続け、試行錯誤しながら巨額の資産を築いた“シゲルさん”。2月3日、トランプ米大統領がカナダやメキシコ、中国への関税強化を打ち出し、日経平均株価は一時1100円超の急落に見舞われた。多くの投資家が混乱に陥るなか、投資の達人はどう動いたのか。
「あれは市場が過剰反応しただけ。明らかに売られすぎだから下がったところは買い場とみて、信越化学工業や東海ソフトなどを次々と買い、計26回ほど売買しました」
そう語るのは、“日本のバフェット”の異名を取る88歳の現役トレーダー・藤本茂さん(シゲルさん)。総資産は20億円超、2023年に上梓した『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社刊)がベストセラーになり、一躍注目の投資家となった。
「安くなったら買って、高くなったら売るという投資の原則通りに行動したまで」と話すシゲルさんはこの下落局面をチャンスと捉えたのだ。実際、その後にカナダやメキシコへの関税は見送られて市場は落ち着きを取り戻し、シゲルさんが仕込んだ銘柄も上昇した。
加えて、市場全体の急落局面で、売って儲けた保有銘柄もあったという。
「すべての銘柄が下がるわけやない。いい企業であれば、こういう時こそ値上がりするもんや。2月3日も、(医療品原薬の製造・販売などを手がける)室町ケミカルは値上がりしており、売って利益を出せました。株価は上か下か横ばいで動く。それを見極めて『買い』『売り』『見送り』の判断をすればいいのです」(以下、「」内コメントはシゲルさん)