コメ価格高騰の“真犯人”は誰か(写真/AFP=時事)
異例の米高騰が続いている。政府が備蓄米の放出を決定する事態にまでなっているが、いったい誰が米の値段をつり上げているのか──。農協(JA)でも農水省でもない“真犯人”を追った。【前後編の前編】
「備蓄米の活用について、石破茂総理から早急に進めるよう指示があり、実施に向けた準備を急がせている」
2月7日、江藤拓・農林水産大臣は会見でこう述べた。2月14日には、政府が保有する備蓄米21万トンを放出することが正式に発表された。
総務省統計局の小売物価統計調査によれば、コシヒカリ5kgの値段(東京都区部)は昨年5月の2490円から、米騒動の同年9月には3285円に急騰。今年1月の小売価格は4185円になり、コシヒカリ以外の米も4051円に達している。
なぜ米の値段は上がり続けるのか。その理由の一端を示すのが、1月31日に農水省食糧部会が発表した数字だ。2024年の米生産量は前年比18万トン増えたものの、集荷量は前年比21万トン減。差し引き39万トン、茶碗60億杯分の米が“行方不明”になっていたのである。
米専門店「つねもと商店」COOで米流通評論家の常本泰志氏が語る。
「昨夏からの需要増で価格が高騰し、年末からは高値で転売していく“米転がし”のような業者が続々と現われた。各業者も在庫の確保に走ったため市場に出回らず、価格上昇を招く要因になっている」