幸福度を下げない「終活」には何が必要か(写真:イメージマート)
高齢者専門の精神科医として約35年間にわたり、医療現場で6000人の患者を診てきたのが、ベストセラー作家の和田秀樹氏だ。そんな和田氏は、60歳を過ぎてなお健康でハツラツと生きている人の共通点は、「何事も我慢せず、好き勝手に生きていること」だと話す。では、自分が亡くなったあとのことを考えて行う「終活」について、和田氏はどう考えているのだろうか。和田氏が“終活の極意”を語る。
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昨今は生前整理や終活がブームですが、慎重に進めましょう。「物を整理しなくてはいけない」と思い込んでいる人も少なくないですが、後になって捨てなければよかったと後悔する人は多い。たとえゴミ屋敷であっても本人がそれで幸せならそのほうがいいと、認知症の高齢者の自宅に訪問診療に行った時に実感しました。生前整理や終活は義務ではないのです。これに時間や労力を取られて、やりたいことができなくなるのは不幸です。
去る者は日日に疎し。死んだ者は月日が経つにつれて忘れられていくものです。自分が死んだ後のことを考えすぎるのは時間の無駄です。その意味で言えば、個人的には墓や葬式は不要だと思っています。墓守を誰が引き継ぐかといった承継者問題は実に面倒で、これを避けるために墓じまいをする人が増えているというのは納得できます。
ただし、家族が墓を欲しがる可能性もあるでしょう。価値観が多様化している今の時代、お墓や葬儀についても「こういうものだ」と決めつけず、自由に話し合って決めたらよいのです。