「偽造ID」を作った友人にドン引き
金に物を言わせる座席交渉に限らず、過激なファンのなかには犯罪まがいの行為を行う人もいる。ある男性アイドルグループを応援してきた女性・Bさん(29歳・メディア系企業勤務)は、IDカードを偽造した知人と縁を切ったという。
「私がファン仲間と縁を切ったのは、相手の子が本人確認用に偽造IDカードを作っていたのを知ったからです。私が好きなグループはライブでの本人確認が厳しく、実際に当選していない人、同行者登録していない人は入れない仕組みです。現在はデジタルチケットになり、QRコードなので不正は減ったと思いますが、以前は免許証などで本人確認していた時代があったんです。
その時、ある友人がチケット当選確率を上げるために、ファンクラブで複数の架空名義を作ったんです。IDカードも巧妙に偽造して、顔写真はフォトショップで適当に自分に似せた写真を貼り付けた。それを自慢気に見せてきて、『これすごくない? めっちゃリアルだよね(笑)』と言われた時、私のなかで彼女との関係を切ることを決めました。その後もライブがあるごとに連絡が来ますが、すべて無視するようになりました」(Bさん)
リアル彼氏ができた友人の豹変ぶりに落胆
同じ対象を推しているファンならではの葛藤もある。ある2.5次元アイドルを応援している女性・Cさん(22歳・大学生)が、“相方”と呼び合っていた友人と疎遠になった経験を振り返る。
「私には、同じアニメアイドルグループを推していた親友がいました。お互い“相方”と呼び合い、双子コーデをして会場の外で写真を撮ったり、一緒にインスタに写真や動画を載せたりするほどの仲でした。ただ、大学3年の頃にだんだん噛み合わなくなってきたんです。そのきっかけが、相方に“リアル彼氏”ができたこと。ライブに行くとき、公演前後にお茶やご飯をするんですけど、その場でずっと彼氏の話をしてきて……。
こっちはこれから推しを観るために、テンションを最大限に上げたいわけですよ。ライブ前は、ライブの話や声優さんの話、『次の聖誕祭どうする?』とかそういう話をしたいのに、向こうはずっと彼氏との惚気話や悩み相談をしてくる。同じ熱量で推せなくなってくると、だんだんお互いにそれを察して距離を取るようになった。友人を失ったのは悲しいけど、『リアル彼氏ができたら推しなんてどうでも良いタイプなんだな』って思ってしまいました」(Cさん)
ファン仲間との交流や推し活の楽しみの一つでもある。しかし、同じ「推し」でつながる仲間だからこそ、ファンのマナーやルール、応援の仕方の違いで友情に亀裂が入ることもあるようだ。