男性のDV被害も徐々に認知されようになってきた(イメージ)
配偶者や交際相手から暴力をふるわれるDV(ドメスティック・バイオレンス)。女性が被害者となるケースが取り上げられがちだが、その裏で男性の被害も増加しているという。警視庁、生活安全局人身安全・少年課の発表によると、男性が受けたDVについて令和5年に全国の都道府県で2万4684件と過去最多の相談を受理したとのこと。
一般的に女性と比べて男性のほうが力が強いとされるが、だからといって女性から男性への暴力がないわけではない。身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力もあり、「男性は女性よりも、我慢強く、忍耐強くなければならない」といった固定観念が、男性たちを苦しめている側面もあるようだ。実際に、パートナー女性からDVを受けたことがあるという当事者男性たちに話を聞いた。
買い物依存症になった妻に花瓶を投げつけられて…
都内在住のAさん(30代男性)は、東京大学を卒業後、アメリカの大学院に留学したエリート中のエリート。大手外資系証券会社に勤務しているバツイチだ。離婚した元妻について、「おかしくなる兆候はありました」と、当時を振り返る。
「妻とは学生時代から交際し、そのまま結婚。僕は同世代のなかでも給料はかなりいいほうで、何不自由させていないつもりでした」(Aさん、以下同)
仕事が忙しくなったAさんは生活費用のクレジットカードをつくり、元妻に渡していた。すると、元妻がいつの間にか買い物依存症になっていたのだという。
「ブランド品をどんどん買うようになり、毎週のようにバッグや靴が増えていきました。もちろん僕は注意しましたし、クレジットカードも取り上げました。すると、今度は自分の実家に借金をし始めたのです」
元妻は、「Aさんが事業で失敗した」という理屈で実家に借金を重ねていたという。買い物に走るのは、寂しさが理由かと考えたAさんは、仕事をセーブ。それでも元妻の買い物癖はなおらなかった。なにせ、ネットで購入してしまうのだ。
「使うならまだしも、一切使わないブランド品が増えて、置き場に困るだけ。妻に売ってもいいかを確認すると、その時は『いい』と言うのに、いざ買い取りに出すと、『なんで勝手なことするの!』などと大喧嘩になり、大きな花瓶を投げつけられました。大事には至らなかったのですが、目の近くに当たったせいで、青あざができてしまって……。後日、会社の同僚に怪我の理由を聞かれたので、酔っぱらって転んだことにしました。まあ、誰も信じている雰囲気はなかったんですけどね」
Aさんは、何度も妻と話し合いの場をもうけたが、事態は好転しなかった。
「その時は泣きながら『もう(買い物を)やめる』と言うんだけど、またやってしまう。メンタルが少し弱っているみたいだから病院に行こうと言うと、また暴力をふるわれました。力ではかなわないとわかっているのか、お皿や家電など、モノを手当たり次第に投げるからたちが悪い。かといって、こちらが彼女の手をつかもうとしたら、『痛い!』『あざになった!』などと大騒ぎ。日に日にヒステリックになっていく彼女に耐えられず、離婚しました」