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60代オバ記者が体験した「いちばん寒かった記憶」 スキー場で手の感覚がなくなって…寒さのあまり衝動的に抱きつきそうになった「だるまストーブ」の思い出

スキー場で「凍傷になりかけた」

 それはともかく、これまでいちばん寒かったのはどこか?と記憶をたどると、北海道のスキー場だ。スキーは高校2年生のときに、田舎の青年団に誘われて、長野県の菅平高原スキー場に行ったのが最初で、直滑降や斜滑降、ボーゲンを教えてもらった。「これだけできたらどんな斜面でも滑ってこられるよ」と言われたことに間違いはない。でもスキー板を揃えて曲がることができないと、いつまでたっても初級者なんだよね。

 一念発起。私は北海道のパウダースノーでボーゲン女を抜け出すべく、ニセコのスキー場に立ったの。ダイヤモンドダストっていうんだってね。晴れているのに空気中の水分が凍って、雪より細かな粒が無数に舞っている。頬に当たる剥き出しの空気が冷たいというより痛い。しかし本当の寒さはそんなものではなかったの。翌日、隣のスキー場まで山道を通って行こうということになり、その帰り道に異変が起きた。

 スキー板を担いでいる手の感覚がない!と思った瞬間、リーダー格のNさんが「ちょっと止まって腕をぐるぐる回して」と緊迫した声で言うの。その通りにしたら指先がじわ~っと温かくなってきた。凍傷になりかけていたらしい。

 それから歩いてゲレンデに出たのはいいけど、吹雪で前が見えない。「わああああ」と叫び出しそうになるのを必死にこらえてスキー板を滑らせていたら、山小屋が見えた。山小屋の中央には、人の背ほどのだるまストーブが。寒さのあまり頭がおかしくなっていたんだと思う。なんと私は、そのだるまストーブに抱きつこうとしたんだよね。

 直前で人に止められて正気に戻ったけど、あのときの衝動は忘れられるものではない。スキーの腕前はというと、谷側に一瞬だけ体を向けるのが怖くて、それを克服できない私は一生パラレルターンができないだろうと観念して、スキー板をスキー場の大きなゴミ箱に捨ててきた。

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