少年刑務所に行って「以前、お世話になったものです」
昨秋、東京国際フォーラムで開催された『全国矯正展』で、黒柳さんから直接「デカトワル」を紹介された。同展は日本各地の受刑者が刑務所作業で作ったものを販売する場だ。デカさんは爽やかな笑顔ながら、眼光の鋭さが時々のぞくのが、いかにも元刑事。ワルさんは間違いなく気のいいお兄さんだ。
私とデカトワルの3人で会場を回っていたら、あるブースでワルさんがモジモジし始めた。「ここ、昔お世話になった少年刑務所なんですよね」と言う。「挨拶してくれば?」と水を向けると、「そうですね」と言いながら、やっぱりモジモジ。いまや立派に犯罪の減少と更生支援に貢献すべく講演活動をしているというのに、それでも気が引けるのかしら?と思っていたら、5分後、「行ってきました。挨拶してきました」と晴れやかな顔で戻ってきた。「以前、お世話になった者ですと言ったら、アハハと笑われました」だって。
ともあれ、“ムショ仲間”がまた増えた。黒柳さんとデカトワルの3人は、誰もが一生かかわる根源的テーマ「食」で結びついた仲間たちだ。聞けば、3人で講演会をするのだという。題して「元刑事×元受刑者×刑務所栄養士が語る 食と心の講演会」。これがまた面白くて……。
■後編記事《「食を変えるとここまで変わるのか!」 元刑事と元受刑者のコンビ「デカトワル」による“食と心”に関する講演会に心動かされる人たち》につづく
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2025年3月20日号