イクメン力全国ランキング2020の結果(積水ハウス調査)
離婚率が高い傾向がある反面、イクメン力も高いのはなぜ?
子ども時代のこうした経験は強く記憶に残っています。その後、東京やアメリカでの生活を経て、2020年に佐賀県唐津市に移住したのですが、「祝い事・祭りの時、男は大広間、女は台所」は毎度経験しています。女性でも客は大広間にいてOKですが、親戚の女性や手伝いで来た女性は台所です。「こっちで一緒に飲みましょうよ~」と誘うと「いいですよ~」と笑顔で遠慮される。そして、全員で今年の抱負を述べたりする時、女性陣は大広間に出てきますが台所に一番近い一角を彼女達で固め、控えめに座っている。中にはいつでも立てるように、膝立ちをしている人さえいます。
さすがにマンションでこのようなことはあまりないかもしれませんが、昔ながらの大きな一軒家・親戚が多い家ではこのような習慣は一部残っているのです。
東洋経済オンラインに掲載された《トップは46%!「離婚率」47都道府県ランキング》(2021年1月22日)の結果は、興味深いものでした。離婚するのには様々な事情があるでしょうが、「さす九」に愛想を尽かした女性の意向も影響しているのかもしれません。
1位は高知県の46.15%、2位は沖縄県の45.87%、3位は和歌山県の44.54%。最も低いのは東京都の27.45%で46位は石川県の29.59%です。九州はといえば、4位・宮崎(43.82%)、12位・大分(40.2%)、14位・鹿児島(40.06%)、18位・熊本(38.89%)21位・福岡(38.09%)、22位・長崎(38.01%、25位佐賀(37.11%)で佐賀以外の6県が上半分に入っています。
そうした中で、積水ハウスが2020年9月に発表した「イクメン白書2020」で紹介された「イクメン力全国ランキング2020」は“別の意味で”興味深い結果でした。ここでは1位・佐賀、2位・熊本、3位・福岡となっているのです。指標は「夫の普段の家事育児実践数」「妻が評価する夫のイクメン度」「夫の育休取得日数」「夫の家事・育児時間」「家事・育児に幸せを感じる夫」の5つで、2つ目の「妻が評価する夫のイクメン度」で佐賀が1位、熊本が2位となり、これが総合順位に寄与した格好です。「九州男児は家事をやらない」というイメージが根強い人にとっては驚くべき結果かもしれません。
この結果について九州の友人たちと語り合ったところ、こんな指摘がありました。
「妻が父親から酷い九州男児っぷりを見せつけられたから、さすがに時代が変わって自分の夫が『お父さんと比べれば夫は優しいし、家事も手伝ってくれる』ということで評価が高いのでは」
これには皆「確かにそれはあるかも……」と黙り込んだのでした。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。