ウォルマートが米国で販売する商品の60%が中国製だという(Getty Images)
第二次トランプ政権による追加関税政策に、米国企業も対応に追われている。CNN、ブルームバーグなど複数の米国メディアが3月12日に報じたところによると、ウォルマートはトランプ政権による追加関税政策によるコスト増を中国企業に転嫁しようと交渉しているという。
ウォルマートが米国で販売する商品の60%がメイドインチャイナ(米国メディアなどの報道より)であることから、中国製品に課せられた合計20%の追加関税措置による業績への影響は大きい。強大なバイイングパワーを持つウォルマートが相対的に立場の弱い中国下請け業者、仕入先に対して大幅な値下げを要求しているとして、多くの中国のマスコミがウォルマートを非難しており、当局はこれを注視している。
ウォルマートは強い価格競争力を獲得する過程において、立場の弱い米国下請け業者、仕入先との取引を切って、品質はそれなりだが価格の安い中国企業との取引を拡大させていった。今更、中国製品が割高になったからといって、ウォルマートは米国企業との取引を再開するだろうか。脱中国を進めるとしたら、ベトナムなどのアセアン諸国やインドなど、価格競争力の高い国に活路を求めるだろう。とはいえ、こうした国々の製造業がそれなりの品質で大量の製品を安定的に供給するだけの能力を持たない以上、脱中国は容易ではない。いずれにしても、米国内に製造業が回帰することにはならない。
ウォルマートの株価をみると、2月13日に105.05ドルで過去最高値(終値ベース)を付けた後、大きく下落しており、3月17日には87.46ドルで引けている。同じ時期にNYダウは6%、NASDAQ総合指数は11%下落しているが、同社の下落率はそれを大きく上回る17%だ。