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自分の生活が苦しくても “投げ銭の沼”にハマる人たち 「手取り17万円でも20万円を」「親のカードに手を出して」…配信者に存在を認めてもらえる“安心感”が対価に

親のクレジットカードに手を出した

 支援や期待の気持ちを抱く人もいれば、投げ銭が「苦痛になっている」人もいる。「最初は彼女の存在が希望でしたが、今はただただ苦痛の原因になっています」と胸中を明かすのは、一昨年IT企業を退職し、今は実家暮らしの40代男性・Bさん(千葉県在住)だ。

 Bさんが配信者やVTuberに投げ銭するようになったきっかけは、「ぽっかり心の隙間が空いたから」だという。

「3年ほど前、離婚したうえに会社も退職し、転職先も決まらないという人生のどん底に陥りました。実家に戻り、引きこもりのような生活を送っているとき、唯一の安らぎで癒しが推しでした。最初は“感謝”のつもりで、お金を投げていました。でも、どんどん自分でこの額では、『彼女は満足してくれない』『見捨てられる』と勝手に思い込んでしまい、月15万円くらい使ったことがあります」

 実家とはいえ、定職に就いていないため、資金は限られている。Bさんは「親のクレジットカードに手を出したことがあります」と振り返る。

「いつしか配信が生活の一部になり、投げ銭も欠かせないものになりました。というのも、配信で投げ銭する人がいると、イライラするんです。俺のほうが彼女を支えていて、だから俺のほうが感謝されてしかるべきだという気持ち。我慢できずに親のカードを使ってしまった時は、親にバレて、めちゃくちゃ怒られました」(Bさん)

 これまで、計280万円あった貯金をすべて投げ銭に費やしたBさん。現在は日雇いのアルバイトをしてはせっせと投げ銭をする生活だという。当然、「配信者のことが大好き」で愛ゆえの行動かと思いきや、意外にも「推しのことが好きなのかわかりません」と語る。それでも投げ銭を繰り返してしまう理由として、Bさんは、「視聴者側の承認欲求なのかも」と自己分析する。

「アイドルにこちらの存在を認識してもらうのはなかなか難しいけど、配信者なら身近。キャバクラのようなリアルのお店に行く勇気はないけど、画面越しで愛でる分にはハードルが低いし、お金を投げれば確実に認識してもらえる。

 ただ、だんだん『本当に推しのことが好きなのかな?』と自問自答するようになってきたのも事実で……。だって、推しの何が好きかと言われたら、顔とか声ぐらいしかないわけです。不安になるたびに投げ銭をして、自らの存在を認めてもらうことで、安心感を得ている気がします」(Bさん)

 推しへの応援は自らの活力につながる側面がある一方で、依存しすぎるとマイナスの影響を及ぼしかねない。投げ銭をする場合は、くれぐれも自分の収入の範囲内で無理なく行うことを考えるべきだろう。

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