心房細動の治療法
心房細動の治療は大きく分けて、薬物治療とカテーテルアブレーションがあります。薬物療法では、おもに抗凝固薬と抗不整脈薬を服用します。抗凝固薬は血栓の発生を防ぎ、抗不整脈薬は脈の乱れを抑えます。ほかにも、心房細動そのものを抑える薬や心房細動が起こった際に心拍数を整える薬があります。
カテーテルアブレーションは、太ももの付け根からカテーテル(細い管)を血管に通し、心臓の異常な電気信号を発している部分を焼いて治療します。発作性心房細動では約90%が肺静脈由来の異常な電気興奮によって引き起こされることが分かっており、肺静脈の出口を囲むようにアブレーション(焼灼)します。これにより心房への異常興奮が遮断され、心房細動を抑制する治療法です。
カテーテルアブレーションは心房細動の原因となる部分を直接治療するため、薬だけの治療よりも根本的な改善が期待できます。しかし、もともと血栓ができやすい体質の人は、抗凝固薬を継続使用する必要があります。カテーテルアブレーションは、手術自体が体への負担が少なく傷も小さいので、入院期間も短く患者にとって比較的優しい治療法と言えます。
「高血圧患者には隠れ心房細動が多い」と語る妹尾准教授
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【プロフィール】
妹尾恵太郎(せのお・けいたろう)/京都府立医科大学循環器内科・不整脈先進医療学講座准教授。2006年滋賀医科大学医学部卒業。心臓病センター榊原病院循環器内科、心臓血管研究所付属病院循環器内科、University of Birmingham, Institute of Cardiovascular Sciencesリサーチフェロー、康生会武田病院不整脈治療センターなどを経て、2018年京都府立医科大学循環器内科・不整脈先進医療学講座特任助教就任。2023年より現職。
取材・文/岩城レイ子