学生の飲み会文化が衰退しつつある背景とは(写真:イメージマート)
『R-1グランプリ』2016の王者で、“誇張モノマネ”で人気のピン芸人・ハリウッドザコシショウが、『SPA』のインタビュー取材に対して「不祥事でお笑いができなくなったら本当に困るので、僕は女性がいる飲み会には行きません」と断言したことが話題を呼んでいる。
こうしたリスク管理が叫ばれているのは、芸人の世界だけではない。近年、学生に対するハラスメントや性加害が問題視されている大学でも、かつてのような教員と学生の飲み会文化が衰退しつつあるという。なかにはザコシショウと同様、「女子学生との飲み会は絶対にしない」と断言する男性教授もいる。デジタルネイティブのZ世代学生たちと日常的に接する大学教員たちの本音に迫った。【前後編の前編】
研究室での学生相談時の扉は開けっ放し
私立大学で心理学系の科目を教えている男性教員のAさん(50代・男性)は、「自分が学生の頃と比べて、大学の気風は大きく変わった」と話す。
「私は学生時代を京都の大学で過ごしました。ゼミが終わったあと、飲み屋で議論の続きをするのが定番で、ハシゴすることも普通でした。女子学生と教授が2人で飲みにいくこともありましたし、なかには交際している人もいた。今では考えられませんよね(苦笑)。また、いわゆる『変人』な名物教授がいて、非常識とも思える言動が許容されていた面がありました。しかし、残念ながら、今ではこうした価値観はアップデートせざるを得ない。
とくに男性教員はハラスメントが発生しないように必死です。最近では、大学教員もリスク管理の一環として、オフィスアワーに研究室で学生の相談に乗るときにも、扉は開けっぱなし。外部から中が見える状態にするのが一般的になりました。私のゼミでも、5年前までは普通に飲み会をしていましたが、コロナを挟んで、最近ではめっきり減りました。学期末にゼミ生全員で打ち上げをする際、数万円だけ置いて、『それじゃ!』とそそくさ退散しています(笑)」(Aさん)