学生と教員の距離感はどう変わったのか(写真:イメージマート)
昨今、ハラスメントが問題化しやすい大学という空間で、かつてのような教員と学生の「飲みニケーション」とでもいうべき飲み会文化が衰退しつつある。特にデジタルネイティブのZ世代学生と日常的に接する男性教員からは「女子学生との飲み会は絶対にやらない」「写真を撮られたら悪用されかねない」と、リスク管理を徹底する声も聞こえてくる。それは何も男性教員に限った話ではない。本記事では女性教員たちの本音を紹介しながら、変わりゆく学生と教員の距離感についてレポートする。【前後編の後編】
■前編記事:大学で衰退する“教員と学生の飲み会文化” 「女子学生との飲み会は絶対にやらない」「写真を撮られたら悪用されかねない」…リスク管理に頭を悩ませる男性教員たちの本音
男子学生からセクハラを受ける女性教員
「学生と教員の飲み会はリスクが高い」と語るのは、なにも男性教員だけではない。ゼミ生から不適切な関係を求められた経験から、「学生との飲み会NG」を掲げるようになった女性教員もいる。
私立大学で哲学系の授業を担当する、女性教員のAさん(30代・専任講師)が、一部の男子学生による不適切な言動を振り返る。
「女性教員に対して適切に距離を取れない学生は一定数います。よくあるパターンが、セクハラタイプと依存タイプ。前者は、男子学生が教員に向けて“性的なからかい”や、女性蔑視的発言をするケース。比較的若い女性教員や、ジェンダー論など性に関連するような授業・テーマを担当している女性教員がターゲットになりがちです。直接からかうこともあれば、リアクションペーパーなどにセクハラ的なコメントを書く場合もある。
後者の依存タイプは、女性教員を『お母さん』扱いする学生です。母親に依存するように、プライベートなことまで相談したり、馴れ馴れしく接してきたりする。授業後に“相談”という体裁で、つきまとってくる学生も珍しくありません。なかには教室から次の授業、研究室、しまいには最寄り駅までついてくる学生がいます。『あなた次の授業があるでしょ? 早く移動したらどう?』と言うと、『いや~、僕暇なんで』などと自分都合でつきまとってくるんです」(Aさん)