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キャリア
Z世代学生と接する大学教員のリスク管理

大学で衰退する“教員と学生の飲み会文化” 「女子学生との飲み会は絶対にやらない」「写真を撮られたら悪用されかねない」…リスク管理に頭を悩ませる男性教員たちの本音

「先生のゼミの様子をストーリーで見ました!」

 私立の有名女子大学でマーケティング関連の授業を受け持っている男性教員のBさん(40代・准教授)も、学生との飲み会は一切行わない方針を貫いている一人。その背景には、Z世代の学生を受け持つがゆえの事情があるという。

「勤務先が女子大なので、男女共学よりも気を遣います。現在ゼミ生は10名程いて、『先生も飲み会しましょう!』『合宿したいです!』などと頼まれますが、基本的にすべて断っています。というのも、学生はこちらの知らないところで動画を撮ったり、写真を撮ったりしがちだからです。

 ある時、授業を受けている他学部の学生から『先生が友人のBeReal(※リアルな日常をシェアするSNS)に写っていましたよ~!』『先生のゼミの様子を(Instagramの)ストーリーで見ました』などと報告されたこともあります。僕が気が付いていないところで、勝手に彼女たちのSNSにアップされているとは、困ったものですね」(Bさん)

LINEをスクショされて悪用されかねない

 こうした背景から、Bさんは学生と二人きりになる状況や、LINEアプリなどで個別に連絡を取り合うことは避けているという。

「言い方は悪いですが、スマホがある今、いくらでも『証拠をでっちあげる』ことができてしまいます。そういった状況で、やはり女子学生との飲み会はリスキーですよ。たとえば、集合写真で女子学生と身体的接触があるように見える写真を撮られた場合、あとあと『セクハラされた』と言われる可能性もあります。

 これは実際にあった事例ですが、学生から『相談があるので、先生と二人で会いたいです』『LINEで直接相談したいことがあります』などと持ちかけられるケースがあります。しかし、そのような状況で写真を撮られたり、LINEをスクショされたら、別の文脈で悪用されかねない。なかには『単位が足りないから』と、教員をゆするような言動をする学生がいることも、悲しいかな事実です。

 こうした防衛行動を、自意識過剰だという人もいるかもしれません。しかし、これがデジタルネイティブと日々接している人間目線のリスク管理なんです。とにかく、誤解を生む状況は避けるのが一番なんですよ」(Bさん)

 つづく記事《大学で変わりゆく学生と教員の距離感 「警戒すべきは恋愛感情を抱く学生」「同性でも距離を詰めすぎるのはリスク」…女性教員もZ世代学生との接し方にハラハラ》では、男性教員だけでなく、女性教員もハラスメント問題の加害者にならないよう、リスク管理を徹底している現状について紹介する。

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