売却後の株価への影響は?
政策保有株を手放したほうの企業は、資本効率が高まる可能性が高いため、株価は上昇しやすくなります。
一方、手放されたほうの企業は、株式の需給が悪化することや、保有していた企業との関係が薄れたとみなされるため、株価が下落することが多いです。ただし、影響は短期的なことが多く、その後は買い戻されることも多いため、逆に、下がったときがチャンスになることもあります。
これからも、企業による政策保有株の売却は進むと見られています。経営の透明性が高まり、株主にとっても「経営がクリーンになった」と安心感が広がるでしょう。
一方で、これまで長年築いてきた取引関係の見直しが進むことで、M&A(企業の合併や買収)が活発になる可能性もあります。日本企業の経営がよりグローバルスタンダードに近づく中で、個人投資家も「資本効率の高い会社」を見極める視点が重要になってきそうです。
今回のまとめ
・政策保有株は取引先との関係づくりのために保有するもの
・資本効率が悪く、経営のチェックも甘くなりがち
・現在では売却が進み、企業の透明性と信頼感が高まっている
【プロフィール】
藤川里絵(ふじかわ・りえ)/個人投資家・株式投資講師・CFPファイナンシャルプランナー。2010年より株式投資をはじめ、主に四季報を使った投資方法で、5年で自己資金を10倍に増やす。普通の人が趣味として楽しめる株式投資を広めるため活動し、DMMオンラインサロン「藤川里絵の楽しい投資生活」を主宰。本稿の関連動画がYouTubeにて公開中。
個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん