“村長の機嫌”が命の存続に関わってくる
ただし、こうなると「村八分にされると生き残れない」という状況も生まれてしまいます。その結果、天候よりも“村長の機嫌”の方が命に関わってくる。村長の機嫌をとりながら、空気を読み、目立たないようにして、みんなで同じ釜の飯を食って生きるという慣習が、日本人が“忖度する原因”でもあると言われています。
そしてこの「村コミュニティ」の空気が、現代の会社の中にも流れ込んでいるために、上司の顔色を伺う、怒られないようにする、サボってないふりをするといった振る舞いをするようになったのでしょう。
だからこそ、たとえば「有給休暇を使いまくっている」「権利ばかり主張して仕事をサボっている」といった人を見ると、“村の掟”に反しているような感覚になる。それが「なんかズルいな」と感じる理由かと思います。
もちろん「村コミュニティ」には、ポジティブな側面もたくさんあります。通勤ラッシュの混雑時にもきちんと3列に整列して電車を待つ、地震が起きたときにコンビニの床に落ちた缶詰をみんなで拾って棚に戻すなど、「規律を重んじること」や「実直さ」を大切にしている国民性は、世界的にも珍しいと思います。
しかし、そこから抜け出して「私だけ週休3日にします」「有給消化率100パーセントにします」といったことを言うと、やっぱり嫌がる人たちが出てくるのは確かでしょう。
一方、欧米ではどうでしょうか。一般的にはキリスト教の方が多いため、博愛主義なのでまず「家族を愛する」っていう価値観が根付いています。そのため、優秀なビジネスパーソンや世界の一流の方々でも、たとえ仕事が残っていたとしても一度中断し、家族とディナーを囲む時間を優先するんです。
つまり日本人は「村第一主義」、いわゆる「会社第一主義」だけども、欧米人は「家族第一主義」。仕事をするにも“家族ありき”です。日本と世界の働き方には、そのような違いがあるといえるでしょう。
【プロフィール】
越川慎司(こしかわ・しんじ)/株式会社クロスリバー代表取締役。国内外の通信会社に勤務した後、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。業務執行役員としてPowerPointやExcel、Microsoft Teamsなどの事業責任者を歴任する。2017年に株式会社クロスリバーを設立。世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援。京都大学など教育機関で講師を務める他、企業や団体のアドバイザーを務める。著書に『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『仕事は初速が9割』(クロスメディア・パブリッシング)など。
越川氏の著書『世界の一流は休日に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)