そうした現状を野田氏はこう嘆いている。
「人口減や高齢化が進む日本の社会保障制度を支えるのが、消費税です。その基本的な考え方は、いまも間違っていないと信じています。3党が合意して法律が通った以上は、税率を8%、10%としっかり2回引き上げて、安定した社会保障制度と財政の健全化が進んでいくと期待したのですが、コロナ禍もあって財政規律は大きく緩んでしまいました」(2023年9月29日付朝日新聞インタビュー)
今回の年金改革法案は、いわば野田政権の社会保障と税の一体改革を補完する性格があるのだ。財務官僚は野田氏の協力を織り込んだ言い方をする。
「社会保障制度の安定は野田さんのライフワーク。年金や医療など社会保障制度の維持のために『第2の社会保障と税の一体改革』を行なって消費税引き上げによる安定財源確保が必要だと考えているはずだ。参院選後の年金改革法案の審議は望むところでしょう」
年金財源のための消費増税や自民・立憲との連携の動きを財務省に問うと「承知しておりません」(広報室)とするのみ。
野田氏の見解を求めると、文書でこう回答した。
「人口減少や高齢化に直面する中、財政健全化と社会保障制度の安定を実現することは、今を生きる政治家に課せられた極めて重要な課題だと考えております。年金制度改革法案に対する党の考えは、提出された法案を踏まえ、検討して参ります」
そのうえで消費税引き上げについて、「再三申し上げていますが、消費税率の引き上げを行うと発言したことはなく、ご指摘はフェイクニュースそのものです。事実に基づく報道をお願いします」と反論した。
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※週刊ポスト2025年4月11日号