ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める大前研一氏
あるいは、所得税の課税最低限ライン「103万円の壁」の引き上げ。国民民主党は念仏のように178万円への引き上げを唱えているが、そうすると国と地方で7兆6000億円の税収減になるとされている。
このため与党は年収ごとに上乗せ額が異なり、年収200万?850万円の上乗せは2年限定という複雑な仕組みで課税最低限を税収減が1兆2000億円にとどまる160万円に引き上げたものの、178万円を譲らない国民民主党との協議は決裂した。
大半の人が年間2万?3万円の減税に収まるように調整されたというが、物価高が進む中、その程度で国民の負担がどれほど軽減するのか、甚だ疑問である。
なぜ、これほど愚策だらけなのか? 石破政権の目的が「予算成立」と「参議院選挙対策」だからである。国民民主党との協議を打ち切ったのも、高校授業料無償化で日本維新の会と合意して予算成立が確実となり、国民民主党に妥協する必要がなくなったからだ。
一方、役人は各省庁の幹部人事を一元的に掌握している内閣人事局に服従し、政治家に仕えることに汲々としている。国民のためではなく政治家のために働いているわけで、役人と言いながら本来の役目を果たさず、国民の役に立たない組織に成り下がっているのだ。
アメリカではイーロン・マスク氏が「政府効率化省(DOGE)」を率いて連邦予算削減に大ナタを振るっている。2月には全連邦政府職員に「先週、何をした?(What did you do last week?)」という上司が部下を詰問する時に使う慣用句のタイトルの一斉メールを送って過去1週間の成果を5項目返信するよう求め、対応しなければ辞職と受け止めると伝えた。マスク氏のやり方は極端で、その横暴さが批判を浴びたのは当然だが、日本でもこれほど愚策ばかりを連発されると、閣僚と役人に「先週、国民のために何をした?」と問い質したくなる。今の日本にこそ「政府効率化省」が必要なのではないか。