1か月あたりの投函量、郵便物は減ってもポストは維持
票が欲しくて与野党談合
そんな日本郵便に、自民党が“延命措置”を施そうとしている。自民党の議員連盟が、郵便局網を維持するために、年間600億円超の財政支援策を検討していると朝日新聞などが報じた。
2005年の“郵政解散”で小泉政権が圧勝して2007年に日本郵政公社が民営化されたが、時計の針を巻き戻す動きにも見える。ゆうちょ銀行の社外取締役を務めた経験のある経済ジャーナリスト・町田徹氏がその狙いを語る。
「郵便局長で構成する局長会は最強の“集票マシン”として知られ、組織の代表を自民党公認候補として参院比例区に立てています。そして、数十万票を集めてトップ当選させる。財政支援策は参院選を控えるなかで、『票集めよろしく』という自民党から局長会へのメッセージだとみられます」
郵便局網維持のために巨額の「国民負担」が検討されているが、野党からも批判の声は聞こえない。
「野党も日本最大規模の従業員数を誇る郵政の労組に支えられていて文句が言えない。与野党の談合状態です」(町田氏)
日本郵政は6月に増田寛也社長が退任。根岸一行常務が昇格し、民営化後、初めて元郵政官僚がトップとなる新体制に移る。郵便局と与野党との関係にメスを入れ、民間企業として経営の立て直しができるのか。手腕が問われることになる。
■前編記事:《【使われない郵便ポスト】4分の1は「1日1通も投函されていない」状態…“いくら値上げをしても赤字を垂れ流す”日本郵便の構造的問題》から読む
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※週刊ポスト2025年4月18・25日号