3分間のトイレ休憩中で実践するトレード術とは(写真:イメージマート)
新NISAブームの影響もあり、株価指数などと連動するインデックスファンドへの積立投資が注目を集めている。そうした10年や20年といった長期間で積立投資に取り組む人がいる一方、短期のトレードに挑戦する投資家もいる。
兼業投資家Kojiさんは本業に励む傍ら、トイレ休憩の3分間で取引を完了するという超短期トレーダー。過去には1000万円の損失を抱えたこともあったが、試行錯誤の末、いまでは月間数十万円~百万円の利益を得られるようになったという。果たしてKojiさんはどういった戦略でトレードしているのか。
初級者から上級者まで、さまざまなスタイルを持つ投資家が集まる「投資家バー STOCK PICKERS」で実際に行われた話を元にまとめられた書籍『投資家バーの常連客から聞いた 投資の成功術』(酒井富士子・著、投資家バー STOCK PICKERS・監修、インプレス刊)より一部抜粋・再構成して、Kojiさんのトレード術を紹介する。
損失1000万円をきっかけに下髭で買うタイミングを研究
──今はすごく順調にトレードしているように見えますが、最初から株式投資について詳しかったんですか?
Koji:いやいや、全然そんなことないよ。僕は2019年に株式投資を始めたんだけど、200万円の資金からはじめて、一時は1000万円の損失を抱えちゃってさ……。
──え! 1000万円ですか!? そんなに損失を抱えて大丈夫だったんですか?
Koji:いや~、子どもの学費として貯めていたお金だったから、大丈夫じゃなかったね。
──そもそも、Kojiさんは仕事も順調だとお見受けしますが、なぜ投資を始めたんでしょう?
Koji:僕が株式投資を始めた2019年頃は、いわゆる老後2000万円問題が騒がれ始めた時期なんだよ。老後に対して不安を感じ、貯金をしていても増えないなら、自分の力で増やさないと! と思ったわけ。
──でもなんで、デイトレードだったんですか
Koji:最初はスイングを始めたんだ。ただ日々マイナスになる含み損を見て、どうしていいかわからず、値動きの激しいIPO株に惹かれていったんだ。最初は億トレーダーが発信するSNS情報に流されたり、自分の投資スタンスが確立していなかったこともあり、2年間で1000万円の損失を抱えちゃったんだ……。
──1000万円の損失から、よく復活しましたね!
Koji:何度もトレードを止めようと思ったよ。でもある日、ある銘柄の過去チャートを見ていると、下髭ができた後にグンと株価が戻ったりするのを見たんだ。「頭と尻尾はくれてやれ」という「陽線が続いている時のトレンドに乗って確実に利益を取る」という格言があるけど、僕はどうしても転換点の頭からエントリーして、買った瞬間に確実にプラスになるようにしたかった。そこで、毎日全銘柄のチャートを見て下髭を徹底的に研究し、そのタイミングで株を買えるようになってきたんだよね。
──つまり、株価が安くなったタイミングで購入するってことですよね。下がった株が上がるかどうかってどう見極めるんですか?
Koji:相場環境や企業を取り巻く環境が良い場合、一時的に下げても株価は反転する確率が高いんだ。また、下げる理由を仮説立てし、実際に株価が下がるかを何回もシミュレーションすることで感覚をつかんだんだ。
──え……、難しいです。
Koji:株価は、その企業の将来の成長や配当などの還元に対し、人気が集まる銘柄が上昇する。ただし適正株価というものがあり、現代は瞬時にコンピュータのアルゴリズムによって適正な株価に織り込まれるんだ。でも需給という要素によって、大きく損切りされることがあると、売りが売りを呼び、株価が大きく下落することもあるよね。そんな時でも企業価値は変わらない……、つまり適正な株価に対し乖離が出た時がチャンスなんだ。ちょっと難しい話だったかもしれないけど、株価が下がったとしてもその銘柄の適正株価が現在値より高ければ回復するんだよ。ささっと下がってささっと上がるところが髭になる。