半導体大手の東京エレクトロンの値動きには“クセ”があったという(イメージ)
トランプ米大統領の「関税措置」によって世界市場は大荒れの様相を呈している。大きな損失を出した個人投資家の嘆きが聞こえてくるが、共働きで2人の娘を育てながら、約240万円の元手から2.4億円の資産を築いた子育てママ投資家のちょる子さんにも、手痛い失敗の経験があるという。
株式投資歴14年、30代半ばのちょる子さんの投資スタイルは、高配当株投資からデイトレードまで幅広い。父に勧められて約240万円で購入したオリエンタルランド(東証プライム・4661)が、7年後に約8倍のおよそ2000万円に。この資金全額を半導体大手の東京エレクトロン(東証プライム・8035)に投じてさらに資産を増やし、本格的に株式投資を始めてわずか3年で資産1億円を超えたのだが、その直後に大きな挫折が待っていた。
2400万円が“溶けた”悪夢の1日
ちょる子さんは自身の投資歴をこう振り返る。
「東京エレクトロン株を買ったのは、中国でアップル不買運動にまで発展した2019年の“アップル・ショック”がきっかけでした。米アップルの業績予想が下方修正されたことをきっかけに世界的な株安となったのです。
東京エレクトロン株も大きく値を下げ、配当利回り5%ほどになっていました。当時の私の会社員としての年収は600万円。年間100万円の配当は非常に大きかったです」(以下、「」内コメントはちょる子さん)
高配当銘柄ではあるものの、株価の下落リスクもある。だが、「減収」「減益」「減配」という言葉すら知らない初心者だったというちょる子さんの大胆な一点集中投資が、その後の投資人生を変えた。
「第1次トランプ政権下の当時、株式市場はボラティリティが高く、不安定でした。そんな時、毎日東京エレクトロンの株価の動きを見ていると、値動きに“クセ”があることに気づきました。14時ごろになると突如売り浴びせにあって急落し、その後反発して大引けで戻していたのです。
これはと思い、14時に信用取引で売り建て、株価が底を打ったタイミングで買い戻すというデイトレを始めました。それまで見続けてきた値動きから、1000株投資して『157円の値幅取り』が日々の目標でした」
高配当銘柄の長期投資と短期のデイトレで、わずか2年後に資産は1億円を突破。だが、その直後に手痛い挫折を味わった。
「これまでの決算発表でストップ高が続いていたAI inside(東証グロース・4488)を決算発表前に仕込んだのですが、その年は利益見通しが据え置きとなったことで株価が急落。その日の1日で2400万円ほどが文字通り“溶けた”のです。運用資産1億円を超えた翌月、2021年2月のことでした。
この損失は精神的にもダメージが大きく、生まれて初めて寝込んだほどです。立て直そうといろいろ取り組んではみたのですが、相場環境と自分の感覚が合っていないと感じて一時的に市場から退きました」