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《誰が日本の主食を殺すのか?》「日本人のコメ離れ」は自民党と農水省の欺瞞と怠慢が招いた、長年の農政失敗の象徴である

中国人向けSNSでの米転売の投稿(『小紅書』より)

中国人向けSNSでの米転売の投稿(『小紅書』より)

「おコメが高いからパンに替えた」はファクトにもとづいている

 近年、肥料・燃料・人件費などの生産・流通コストは異常なほど高騰し、米価は前年比7割超という狂乱的な値上がりを見せている。スーパーでの平均価格は5kgで4000円を超え、多くの家庭が悲鳴を上げている。三菱総合研究所の稲垣公雄氏が2025年4月3日付の同社コラム「食と農のミライ」で分析したように、2025年2月時点で、ごはん1膳(約57円)は6枚切り食パン1枚(約32円)や4枚切り食パン1枚(約48円)より明らかに割高となった。かつて安価な国民食であったはずの米が、パンやパスタより高価になる。これが、自民党と農水省による長年の失政がもたらした惨状である。

 テレビの街頭インタビューで「おコメが高いからパンに替えた」という声が聞かれるのも当然である。稲垣氏が指摘するように、それは価格比較に基づいた「むしろ事実」なのだ。この状況が続けば、消費者の「コメ離れ」がさらに加速することは避けられない。全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長ですら、4月10日の記者会見で「高止まりすると消費離れが発生する」と懸念を表明している(時事通信報道)。自民党と農水省は、日本の食文化の根幹である米食を、自らの無策と失政によって破壊していることに、一体いつ気づくのだろうか。

 この危機的状況に対し、自民党と農水省の対応は、相変わらず責任転嫁と場当たり的な弥縫策に終始している。彼らは価格高騰の原因を「転売ヤー」や「流通の目詰まり」といった末節になすりつけ、自らの政策失敗から国民の目を逸らそうと必死である。農水省は「在庫が分散している」などと、本質を外した調査結果を公表し、姑息な言い訳を続けている。現場からは「供給力不足」「コスト高騰」という悲鳴が上がっているにも関わらず、それを無視し続ける。

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