アメリカの億万長者たちにも共通する「質素な暮らし」
もともとサラリーマンで普通の生活をしていた人たちは、資産が1億円になったからといって生活水準をほとんど変えない。必要なもの、関心のあるものには思い切っておカネを費やすけれど、無駄なおカネは使わない。教育費や寄付など他人のためにおカネを使うことも多いという。
これはアメリカでも一緒。金持ちになりたいなら必読といえるのが、富裕層の実証的な研究を大々的に行ったニューヨーク州立大学教授のトマス・J・スタンリー氏の『となりの億万長者 成功を生む7つの法則』(ウィリアム・D・ダンコと共著、斎藤聖美訳・早川書房)の一連のシリーズ。
大江さんの本のタイトルの元ネタになっているのだけれど、贅沢三昧に見えるアメリカでも、資産100万ドル以上の億万長者は質素な暮らしをしていることが多い。銀行員と並ぶと、銀行員の方がはるかにリッチに見えるそうだ。
1万人以上の億万長者に共通した七つの特徴
『となりの億万長者』は「なぜ、オレは金持ちじゃないんだ?」と悩む人のために1万人以上の億万長者を調査した。その結果、億万長者の特徴として次の七つを挙げている。
【1】収入よりはるかに低い支出で生活する
【2】資産形成のために、時間、エネルギー、金を効率よく配分している
【3】お金の心配をしないですむことのほうが、世間体を取り繕うよりもずっと大切だと考える
【4】社会人となった後、親からの経済的な援助を受けていない
【5】子供たちは、経済的に自立している
【6】ビジネス・チャンスをつかむのが上手だ
【7】(本人の適性と)ぴったりの職業を選んでいる
ちなみにぼくは1、2、3、4が当てはまるけど、5、6は違う。7については出世はしなかったが、メディア企業に勤務して資産運用についての知識を得ることができたという点では合っているともいえる。だから、七つの特徴すべてに当てはまらなくても億り人になれるけれど、とりわけ、1~3は重要だと考える。
『となりの億万長者』では、アメリカの億万長者の多くがごく普通の町に住み、小さな工場やチェーンストアを経営している自営業者で、はたから見れば億万長者とは気づかれないと述べている。半数の人が399ドル(約6万円)以上のスーツを買ったことがない。4割が中古車を買っている。
一方、弁護士や医者、銀行員などの高収入の一見エリートに見える人たちは、生活水準を自分と同レベルの同僚や友人と合わせるため、高級住宅街に住み、ファッションや自動車におカネをかけてしまい、資産がたまらない。スタンリー氏は「高収入と富は違う」という。
そして、スタンリーの法則と呼べるものを導き出した。