ネット系企業でセキュリティ部門を担当する女性・Bさん(29歳)は、次のように若者のSNS利用に警鐘を鳴らす。
「Instagramで『#運動会』『#球技大会』などと検索すると、校章と自分の苗字の入った体操ジャージを着た若者の自撮り写真が無数に出て来ます。ほかにも制服姿で教室内の映像を勝手に撮影し、Instagramに投稿している写真も山のように存在します。正直、保護者はこのアカウントの存在を知っているのだろうかと怖くなります。
昨今は『モザイクアプローチ』といって、InstagramやTwitterアカウントの投稿から個人情報を特定することは非常に簡単で、犯罪集団の常套手段となっていますが、中高生や大学生は、登下校の時間や居住地域がすぐにバレる投稿をしがちです。位置情報をセットで投稿すると、行動パターンもすぐに割り出せます。学校名を記していなくても『創立記念日』『体育大会』『合唱大会』などのイベント、天気、遅延情報から学区域が割り出せることもあります」
くわえて厄介なのは、本人が写真や画像をアップしていなくても周囲の友人が無断で写真をアップロードすることで情報が流出してしまうこともある。Bさんが続ける。
「カフェなどで食べ物の写真だけでなく、一緒に遊んでいる友人の顔を勝手に撮影する人がいますよね。『撮らないで』と断りづらい場合も多く、人間関係を壊さないために仕方なく撮らせてしまうのでしょう。しかし、相手が勝手にInstagramに投稿すると、位置情報だけでなく、フォロワーリストから間接的な人間関係も把握できてしまいます。
また、Instagramの『ストーリー』なら24時間で投稿が消えるので、『どうせ消えるから』と考えて、他人の動画を載せたり、悪口を書いたりするパターンもあります。そうした油断から犯罪に巻き込まれないとも限りません」