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「見栄えが悪い」「規格外」「売れ残り」…農家のプライドと苦悩

 ただ、野菜は生きもの。たとえば、ピーマンのように劣化ではなく熟して赤く変色するものや、にんにくなどの玉もののように割れが生じるものもある。また、キャベツは収穫が少し遅れたり、そのタイミングで雨が降ったりすると、少しヒビが入ることもある。そこを理解してほしいと話す。

「割れて土が入ったにんにくも、私は“完熟割れにんにく”と名付けて販売してます。ひと皮むけばまったくA品と遜色なく、すごく風味がよくて人気のにんにくなんですよ。でもある時、農家仲間に『あんなみっともないものを売らないでください』と言われたんです。同じ農家として恥ずかしいと。さすがにショックでしたね。私はそんなに恥ずかしいものを売ってるのか…と」

「B品野菜を売るくらいなら、廃棄した方がマシ」

三浦半島のブロ雅農園代表・鈴木雅智さん(右)と母の順恵さん

三浦半島のブロ雅農園代表・鈴木雅智さん(右)と母の順恵さん

 除草剤と土壌ガス消毒の使用ゼロ、農薬もほぼ使わないブロ雅農園の野菜は味が濃くおいしいが、B品野菜を大量に生むリスクも高い。

「農協に卸していない農家さんでも、見た目がいいもの以外は、人の目に触れさせたくない、あるいはB品を売るくらいなら廃棄した方がマシだ…というかたもいます。私にはそのプライドもよくわかります。

 私も、キャベツをスーパーに納品したら、そのうち1玉に虫が見つかって、うちで全額負担して廃棄してもらったこともあるし、運送中、ブロッコリーに花が咲いちゃって泣いたことも。農業をやっている意味はあるのか…と自問することもよくあります。

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