一般的に認知症は年齢を重ねるほどリスクが高くなり、高齢者の病気と思われがちだが、実は若い世代にもある。65才未満で発症するものは「若年性認知症」と呼ばれ、高齢者の認知症と病理や進行のプロセスは同じだが、取り巻く状況は大きく違う。
老親の心配ではなく、たとえば自分が認知症になることを想像してみよう。恐れや不安はあるが、親の介護同様、知っておくことで避けられるリスク、準備しておけることもあるはずだ。
厚生労働省の調査によると、若年性認知症の患者数は約4万人。認知症患者数全体に占める割合は1%以下で、やはり圧倒的に65才以上の発症が多いが、高齢者の認知症とはどんな違いがあるのだろうか。認知症専門医で湘南いなほクリニック院長の内門大丈さんが語る。
「認知症を起こす原因病は数十種類ともいわれますが、いちばん多いのはアルツハイマー病。老年性認知症でもアルツハイマー型が最多です。一方、若年性で多いのは血管性認知症。脳梗塞や脳出血などに続いて発症するので、発症のきっかけがわかりやすいということもできます。
そして次に多いのは、やはりアルツハイマー病。老年性と同じく、もの忘れや見当識障害、判断力・思考力の低下などの初期症状から始まり、不安や焦燥、抑うつ、妄想などの精神症状も起こります」(内門さん・以下同)