「オレが生まれた頃の平均寿命はいくつだったか知ってるか? 47才です。それが戦後は53才になって、それでこの間まで81才とか言ってたのが、100才だってんだろ?」
「人生設計を考えるときに100才まで生きる前提で退職金って計算してみたことあるか? 普通の人はないよ、たぶん。オレ、ないと思うね」
「いきなり100才って言われて、『あと20年間、ゴルフ続けられるのか』って。『そんな体力ねえな』とか、『金がねえな』とか、いろんなことを考えるだろうから、そういったことを、今のうちから考えておかないといかんのですよ」
発言の主は、麻生太郎財務相(78才)だ。6月3日、麻生氏がトップを務める金融庁が、「高齢社会における資産形成・管理」と題した報告書(以下、「6・3政府報告書」)を発表したことを受けて、記者にそう発言した。
政府はその報告書の中で、年金暮らしの平均的な高齢夫婦の生活費は、「毎月5万円の赤字」が続き、65才で定年を迎えた場合、20年後の85才時には1300万円、30年後の95才時なら2000万円が不足する。だから、国民はそれぞれ自助努力でその不足分を補うべきだと提言した。
また、「6・3政府報告書」が出される10日前の5月22日に公表された「報告書(案)」には、《年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい》、《公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある》などと記された。