それには世間から一斉に反発の声が上がった。千葉県に住む主婦の青木さん(42才)は憤る。
「さんざん年金は『100年安心』と言っておいて、とんだ茶番でしたね。『国はもう老後の面倒をみません』という“切り捨て宣言”にしか聞こえません。いっそ、年金は要らないから、毎月天引きされる年金保険料を、貯金や投資に回させてほしいです」
そんな国民の声に対し、麻生氏は3日、記者会見で冒頭のように、居丈高な口調で開き直ったのだ。
国民が苦しい老後生活を送っていることを、「ゴルフ」に喩えるのは言語道断。そもそも、平均寿命が延びることなど、政府はずっと昔から予測していたことで、そのための年金制度であり、福祉制度ではなかったのか。残念ながら、財閥出身のボンボン大臣には、国民生活の苦境など理解できるはずもなく、今になって突然、私たちの老後は切り捨てられてしまった。
7日になって麻生氏は、2000万円という老後の不足額を「赤字」と表現したことについて、「(年金だけでは)あたかも赤字であるかのような表現をしたのは不適切だった」「さらに豊かな老後を送るため、上手に資産形成をするという意味で申し上げた」と釈明したが、本音のところは、“もう国は面倒見切れないから、あとは自己責任でよろしく”なのだろう。
医療費は約280万円、介護費は500万円以上
「長生きするリスク」が叫ばれる時代になった。病気や介護などとともに不安視されるのが老後資金だ。
定年退職を迎えると、基本的には定期的な収入がなくなり、生活費は「年金」か「それまでの貯金や資産」に頼ることになる。年金額の範囲内で暮らせればいいが、医療費も介護費もバカにならないので、多くの人は貯金を切り崩す。それでも、80才、90才、100才と長生きをすると、いつかその貯金も底をつく──そのタイミングのことを、「いつまで資産がもつか=資産寿命」と呼ぶようになった。