「インターネットの登場もさることながら、実はそれ以前の『コンビニの普及』も要因の1つといえます。コンビニが普及するにつれ、他人とのコミュニケーションを最小限にして、買い物も食事もできるようになった。さらに、真夜中でも明るい店内では、人知れず孤独感を紛らわすこともできます」(神山さん)
大人のひきこもり問題の要因としてよく取り上げられる「就職氷河期による新卒採用の抑制」という定説だけではなく、30年ほど前から各地に広がっていったコンビニによって、“人間の本能”が変化し、結果的にひきこもりの出現につながっていったという指摘だ。
東京・練馬で刺殺された元農水事務次官・熊沢英昭容疑者(76才)の無職の長男・英一郎さん(44才)は、「自分は事務次官の息子」と堂々と名乗るなど、ネットゲームの中で独特の存在感を放っていた。実際に彼が亡くなる直前までやりとりをしていたユウキさん(仮名)が証言する。
「英一郎さんとはオンラインゲームで知り合って、ゲームの世界だけがお互いの生きがいでした。彼を叩くような一部報道がありますが、私の知っている彼はそんな人ではありません。私がネット上のトラブルに巻き込まれた時も、『明けない夜はない』とメッセージをくれたり、同じ人物とは思えないほど、私には優しくしてくれました」
ユウキさんによると、英一郎さんは、ゲームの中で「大切な人」も見つけて、その恋人と一緒に幸せに暮らしていたそうだ。あくまでゲームの中の話だが、彼にとっては、ゲームの世界こそ“本物”であり、現実世界の方がバーチャルだったのかもしれない。
※女性セブン2019年7月4日号