芸能界を震撼させている芸人による「闇営業」騒動だが、会社員でもこっそり「闇営業」をしている人がいるという。これまでに何度も会社員の「闇営業」を目撃してきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏がその実態をリポートする。
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いや、「会社員の闇営業」って聞くとおどろおどろしい感じがしますが、「(おそらく)副業禁止なのに副業をするサラリーマン」という認識でいてください。会社で得た顧客情報などを悪用して営業をする、とか、会社の商品を横流しして私腹を肥やす、とかそういったことではありません。
私の場合、ウェブに出す用のニュースを編集する仕事をしていますが、どうしても書き手が必要になるんですよ。会社員の知り合いと飲み会をした時などに「今どんな仕事をしているんですか?」と聞かれて自分の仕事を伝え、「いやぁ~、人手が足りないのが悩みですね」と嘆くと、「それ、私にやらせてもらえますか?」と言われます。
「えっ? ○○さん、忙しくないですか?」と聞くと「会社も最近は残業抑制方向になり、正直住宅ローンを支払うのが苦しいので、月に数万円でも収入を上げたいんですよ。1週間に1回か2回、私に原稿を書かせていただけませんでしょうか」なんて言われます。
当然バッチリと取材をした記事などは書けませんが、ご本人の勤める業界の裏事情に関するレポートやら、新作映画の短評、芸能人ブログやネットで生中継される番組を基に記事化した記事などは書くことができます。
こうした「闇営業会社員」に私は何度も発注しており、自分としても彼らの存在はそれなりに重要だったりもします。基本、ウェブメディアでは、記事本数を増やさなくては運営が立ち行かなくなるので、普段のレギュラーライターとは別にこうした「闇営業会社員」の存在はオプションとして持っておくと安定的な記事配信維持に繋がります。