6月末のG20で注目されていた米中首脳会談が終わり、貿易戦争の緊張は緩和された格好だ。はたして今後の相場環境はどうなるのか。G20後の相場についてカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが見通しを述べる。
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G20で米中首脳会談が実施され、中国への追加関税は当面回避となりました。市場は歓迎ムードですが、はたして今後の相場環境はどうなるのでしょうか。
まず注目したいのは「金」相場です。G20の開催前には6年ぶりとなる高値を付けました。5月末から対ドルの金価格は上昇トレンドに入り、G20での米中会談を控え節目となる1トロイオンス=1400ドルを突破。会談の結果次第で市場は大荒れとなる可能性があったため、リスク回避として一部投資家が、資産を金に移行していたようです。同時期にはビットコイン価格も上昇しており、ビットコインにも同様の資金が流入していたと思われます。
リスク回避目的に買われる資産は、戦争や紛争といった地政学リスクなどが浮上し、市場の先行きが不透明になったとき注目を集めます。「有事の金」とも呼ばれ、陸続きの国々では、日本人よりも金を価値ある交換手段として見ているようです。例えばインドや中国の一部では、結婚するときに金のコインを持たせる風習もあるようで、自国通貨の価値が急落したときの万が一の備えとしての役割もあるのでしょう。
G20が終わり、株式市場に資金が戻るなら、金などのリスク回避資産は下落する可能性があるので、注視したいところです。
史上最高値更新をしたNYダウの上昇は続くか
米国株式市場に目を向けると、7月3日にNYダウは史上最高値更新をしました。NYダウは5月末に下押ししましたが、FRB(米連邦準備制度)の利下げ示唆発言から持ち直し、G20を経て米中貿易戦争の緊張が緩和された今週、上値トライに市場の注目が集まっていました。個人的には大統領選を来年に控えているため、今後も米国株は上方向で見ており、テクニカル分析からも上昇トレンドを思わせるサインを確認しているので期待しています。
私は相場歴50年近いですが、ずっとテクニカル分析をメインにトレードしています。G20後の相場を予測する際に、テクニカルツールで強気相場となるサインをチェックしていました。今回も相場予想のあとを追うように、ファンダメンタルズのニュースが出てきたため、「テクニカル分析を理解し、チャート分析をしっかりと行えば、ニュースに振り回されることはない」と自負しています。
テクニカルは相場の先行きを予測するためのツールとして活用できます。みなさんも相場予想に不安を抱えるなら、まずはテクニカル分析を徹底的に極めてみるのはいかがでしょうか。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)