「初年度は近隣のスーパーで収穫野菜の販売も行いました。地元栽培の無農薬野菜ということで好評をいただき、約200袋を完売しました。特に積極的に参加していた98才(当時)の男性参加者も売り場に立ち、地元の人が野菜に興味を持って買ってくれるのをとても喜んで、いい笑顔になっていましたね」
現在は、近隣の農家レストランに卸している。納品して代金を受け取り、領収書発行までが仕事参加者の任務だ。また昨年からはカゴメと協働で行う「介護×健康セミナー」の講師補助の仕事も。
「たとえば、栄養面で理想的とされる昭和30~40年頃の食生活について、まさにその頃に、家族の食事を作ったり食べたりしていた世代として、87才と98才の“仕事参加者”が話しました。
さらに介護離職が深刻になっている昨今、一般企業や地域の人たちに向けて、老人ホームなどの施設の実態を見ていただくセミナーでは、施設入居者として生活ぶりをお話しし、施設内の案内係も務めています。施設入居への偏見をなくし、介護家族が離職せずにすむよう視野を広げることにひと役買っています」
このほか保育園で使われるぞうきんを手縫いで作るなど、高齢の入居者の経験や技術、趣味が生かせる仕事を創出中。まさにアクティビティーとは一線を画し、さらに“本人”が生かされる仕事だ。
※女性セブン2019年7月18日号