FX(外国為替証拠金取引)トレーダーの中には、スワップ金利を重視して取引している人も少なくないだろう。特に米ドルを取引する場合、そのスワップ金利に大きな影響を与えるのが「米国債金利」だ。これまでFXで億単位の利益を稼いできたカリスマ主婦トレーダーの池辺雪子さんが、解説する。
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今回はFXの取引においても重要な「米国債金利」について解説します。私が米国債の金利をチェックする理由は、スワップ金利に影響するためです。スワップ金利とは金利の高い通貨を買い、日本円のような低金利通貨を売って、得られる金利差収益のことです。
米国債金利はアメリカが発行した国債の利息部分で、国債には償還期限が1年未満の「bill」というものから、2年や5年、さらには10年や30年といった長期間の債券まであります。メディアで「長期金利」と使われる場合は「10年債の金利(利回り)」を指すことが一般的です。
米国債金利は政策金利(FFレート)と相関性があり、政策金利はスワップ金利に影響を与えます。通貨はその時々の景気に限らず中長期的な経済情勢を織り込みながら価格変動をしています。それは米債金利も同様で、インフレ率なども加味しながら将来的に金利がどの水準にあるのかを示唆します。
米国債の利回りが低下する時は、米ドルの目先のスワップ金利も低下する可能性があると推測できます。他のトレーダーも同じようなことを考えるため、スワップ金利の落ち込みを見越して「売り」が連鎖的に発生することもあります。政策金利の引き下げ予想が増えたり、実際に政策金利の引き下げが行われた通貨に、売り圧力が強まるのはこういった理由です。
たとえば6月、トルコのエルドアン大統領が政策金利引き下げの必要性を説いたところ、トルコリラが下落したことは記憶に新しいと思います。高値1トルコリラ=22.08円から、一時的に安値1トルコリラ=17.50円まで下落しました。ただ、直近ではその下げ幅に対して、フィボナッチリトレースメントで38.2%戻しを達成しており、次の目標価格となる50%戻しの1トルコリラ=19.79円にトライできるか注目しています。