安倍晋三総理は10月に消費税率8%から10%への増税を予定しているが、それに伴う日本の景気へのダメージは少なくなさそうだ。というのも、経済アナリストの森永卓郎氏によると、「世界経済はすでにリーマン・ショック並みの危機に陥っている」というからだ。今の本当の景気状況と増税後の日本株の見通しについて、森永氏は次のように解説する。
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IMF(国際通貨基金)は、2019年の世界の実質経済成長率が3.0%まで下がる可能性があると発表している。リーマン・ショック後の2009年から5年間の平均成長率が3.3%だったことから考えれば、すでにリーマン・ショック並みの経済危機が到来しているといっていい。
世界的な景気後退を背景に、機を見るに敏な投機マネーの債券や株式からの資金移動により、すでに商品バブルが始まっている。実際、原油や金などの商品価格が軒並み値上がりしている。その象徴がビットコインだろう。一時1ビットコイン=30万円まで下落していたのが、120万円まで急騰する事態が見られた。資産の裏付けのない仮想通貨にこれだけの高値が付くというのは、投機マネーが動いている何よりの証拠だといえる。
ただし、こうした投機によって生まれたバブルは長続きしない。2008年にも同じ現象が起こったが、その後の展開を見れば明らかだ。たとえば、2008年7月11日にニューヨークのマーカンタイル市場で、原油価格が1バレル=147ドルまで上昇した。だが、そこでピークアウトして一気に下落し、わずか2か月後の2008年9月にリーマン・ショックが起こったのだった。
まさに現在は、リーマン・ショック前夜と瓜二つの状況だ。市場では、すでにヨーロッパは景気後退に入ったという見方が支配的になっている。さらには、ヨーロッパ発による金融危機が発生するとの見方さえ出始めている。