中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

あえて年収が下がる転職の道を選んだ人たちのキャリア戦略

転職は「年収アップ」を目指すためだけのものではない(イメージ)

 より高い報酬を求めて転職する人がいる反面、「年収が下がっても転職する」という人は少なくない。後者の人たちは、何を求めて転職という選択をしたのか。これまで多くの転職経験者たちと仕事をしてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、彼らから聞いた転職時の思いとその後をリポートする。

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 転職には「キャリアアップ」や「ステップアップ」といった言葉がセットになります。これらは当然重要なのですが、この2つの言葉に込められた意味として最重要とされるのが「年収アップ」です。

 ここ何年も転職希望者や実際に転職をした方々と会ったのですが、年収が上がったという人は多数派ではありません。それまでの職場に耐えられなくて辞めざるを得なかった方や、病気で退職せざるを得なかった方がまず存在します。さらには、「あえて年収を下げる転職」をする方もいます。

 先日お会いしたのが、大手出版社から、ウェブメディアを運営する会社に転職した30代の男性でした。彼は週刊誌の編集者から書籍の編集者になり、そのまま社内で出世すれば年収1000万円超も見えていました。しかし、小規模なIT系企業に転職したのです。彼はその理由について、以下のように語りました。

「メディアの仕事をし続けていましたが、自分自身のことを考えても、スマホで文章を読むことが多いのは明らかです。となれば、これまで培った書籍や雑誌の編集のスキルを30代のうちにネットに転用させた方が、私の長い仕事人生を考えると得策なのでは、と思ったのです」

 この方の場合、年収は200万円ほど下がったといいますが、ウェブで活躍できる編集者がこれからは求められる、と考えた結果、「時は来た!」とばかりにその道に進んだのです。

年収を下げる選択をして専門性を身につける

 私の古くからの友人でもある、千葉商科大学専任講師の常見陽平氏は、新卒でリクルートに入り、その後バンダイに転職し、さらにはベンチャー企業に転職しました。そして、転職のたびに200万円ずつ年収が減りました。しかし、同氏は「これが良かった」と言います。

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